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麻の歴史と種類

麻の歴史

麻の歴史は非常に古く、紀元前10,000年にエジプトでは既に麻が栽培され、麻布が造られていました。 紀元前2,000年にはエジプト王の墓に、麻栽培についての壁画もあり、またエジプトのミイラが麻布で包まれていることも確認されています。 19世紀頃には、全繊維消費量の1/3位を麻が占めていたようです。 日本では、飛鳥・奈良時代に、特にラミー(苧麻[ちょま])が衣料として愛用されていたことが日本書紀等にも記されています。

この様に、人類と共に、生まれた麻は、現在では、小千谷縮・近江麻縮・能登上布等の最高級着尺地から、カジュアル感覚の麻混織物およびニット分野に至るまで、さらには新幹線のモタレカバー、ユニフォーム分野等、深く、且つ広範囲にその用途を拡大しつつあります。

麻は、人類と共に生まれ人類と共に生き続ける天然繊維-おそらく最も長い歴史と生命をもっているといえましょう。

 

麻の種類

麻という言葉は、一口には表現しにくい言葉です。というのも、英語においては、日本語でいう総括的な「麻」という語は無く、Ramie=「苧麻」・Linen=「亜麻」・Hemp=「大麻」・Jute=「黄麻」などに区別されています。

麻の種類は、約20種類以上になりますが、「別表」のように代表的なものだけでも、相当な数があります。このうち衣料用としては、ラミーとリネンが代表的です。家庭用品品質表示法においても、麻という統一文字を使用できるのは、ラミーとリネンに限ると明示されています。ロープ用としては、マニラ麻、サイザル麻、黄麻、大麻等があります。

 

 名称
種別
短繊維長mm
太さμm
主な産地
用途
 苧麻
(ちょま)
Ramie ラミー
からむし、まお
蕁草科
(イラクサカ)
(多年生)
70~250mm
18~30μm
中国、フィリピン、マレーシア、ブラジル
衣料、寝装、資材
亜麻
(あま)
Flax、Linen リネン
亜麻科
(アマカ)
(一年生)
20~30mm
15~19μm
中国、ベルギー
衣料、寝装、資材
マニラ麻
Abaca アバカ
芭蕉科
(バショウカ)
(多年生)
3~10mm
10~20μm
フィリピン
ロープ、帽子、ひも
サイザル麻
henequen ヘネケン
石蒜科
(セキサンカ)
(多年生)
3~10mm
10~20μm
フィリピン、メキシコ
ロープ、ひも
黄麻
(こうま)
Jute ジュート
田麻科
(シナノキカ)
(一年生)
1~4mm
15~25μm
中国、インド、バングラディシュ
麻袋、カーペット基布、ヘッシャンクロス
大麻
Hemp ヘンプ
桑科
(クワカ) 
(一年生)
15~25mm
16~25μm
中国、フィリピン、イタリア
衣料、ロープ
ケナフ
Kenaf  ケナフ
洋麻科
(ヨウマカ)
(一年生)
2~6mm
タイ、インド、中国
壁材 、パルプ代用品

 

 

 ラミーVSリネン

 ラミー(苧麻)とは? リネン(亜麻)とは?
ラミーは多年生の植物で、50日間で1.5~2.0mまで成長。温帯では年に2~3回、熱帯では4~6回の収穫ができるほどのたくましさです。 リネンは一年生の亜麻科の植物です.
ラミーに比べ、比較的涼しい地方で栽培され、約1年で80cmくらいに成長。淡い紫色をしたかわいらしい五弁の花を咲かせることでも知られています。 また、リネンは紡績工程の途中の段階迄は「フラックス」と呼ばれます

   

                                                                   

 

 

<ラミー&リネンそれぞれの類似性と相違点>

  ラミー(苧麻) リネン(亜麻)
繊維の特徴
  • 天然繊維の中では、最もシャリ感がある
  • 涼感があり、腰がある
  • 水分の吸収・発散性に優れている
  • 色は白く、絹のような光沢がある
  • 強力は、天然繊維の中ではもっとも強い
  • 風合いはしなやかで綿に近い
  • 涼感は、ラミーに次ぐ
  • 水分の吸収・発散性は、ラミーに次ぐ
  • 色はリネン特有の黄味がかった色(亜麻色)がある。白度、光沢はラミーに次ぐ
  • 強力は、ラミーに次ぐ
繊維の外観
  • 断面は円筒状または扁平
  • 表面に凹凸はなく、タテに亀裂、関節状節がある
  • 先端に従い細くなり先端の部分には丸みを帯びている
  • 均整のとれた円筒状で、断面は5・6角形
  • 表面はところどころに節があり、横や斜めに走る亀裂状のスジがある
繊維の長さ&太さ
  • 繊維の長さは20~250mmとまちまち
  • 太さもまちまち。平均的には太いほうで、麻らしいシャリ感を与えることに役立っている
  • 繊維は短く、20~30mmくらい
  • 太さは、ラミーの平均の約半分と細く、しなやかさのモトになっている

 

麻が涼しいのはなぜ?

 麻の特徴

衣料用として用いられているラミーとリネンの特長は、別掲の「麻の歴史と種類」の中でもふれていますが、要約しますと以下の通りです。

  1. 涼しく、さわやか

    麻は熱伝導性に富んでいる(後記データ参照)ため天然繊維の中で最も涼しいと言われ、吸水・発散性に優れ、クールビズに最適な素材です。

    • 腰が強く、汗ばんでも肌に密着しない
    • 通気性に優れている
    • 水分の吸収、発散が早い
  2. 丈夫で長持ち

    麻は天然繊維の中で最も強力があり、さらに水に濡れるとその強さを増す性質があり、耐久性に優れています。

  3. 優雅な個性ある風合い

    優雅な光沢としっかりした上品な個性ある風合いは、ファッション素材として爽やかな表情を見せてくれます。

  4. 清潔で衛生的

    麻は洗濯で汚れが落ちやすいので、肌着、ハンカチーフ、ナプキン、テーブルクロスなど清潔さが要求される場合に、麻の特性はいかんなく活かされます。

 ラミーの特長は繊維の中空孔

ラミーの断面を拡大すると、繊維1本1本に穴が見えます。いわばラミー繊維は極細パイプの集合体といえます。
この空間部分が水分を含み、どんどん大きくなり、発散するとしぼむため、吸湿・発散性に優れています。
(吸湿・発散性のサイクルに優れており水分の蒸発時気化熱を奪われて涼しくなります。)
また、繊維が太いため(綿の2.5~3倍)、隙間が大きくなり、通気性が良く涼しいのです。
この他、抗張力、ヤング率(こしの強さ)が大きく、シャリ感があり、熱の伝導率が良く、放熱性に優れているため、独特の涼感があります。

 接触冷感q-maxデータ

接触冷感とは、瞬時に発生する皮膚から服地への熱移動現象をデータ化したもので、流れる熱流速が大きい(熱が瞬間的に多く移動する)ほど、冷たく感じられます。
以下は、当社がストックするカラーシリーズを含む定番商品の織物、編物について外部検査機関にてq-maxを測定したもので、麻が涼しく感じられることが当該データからも見てとれます。

  1. 試験方法
    • 10cm x10cmの生地を準備する。
    • 20℃にした定温台に試験片を乗せ、その上にTbox(40℃に加熱)を乗せる。
    • Tboxから試験試料を通し、定温台へ移動した約0.2秒後の最大熱量q-max(W/c㎡)を測定する。
  2. 当社の素材毎のq-maxデータ
素材名 品番 J/c㎡・sec
1 織物 麻100%(ラミー) R1800 0.437
2 R1000 0.402
3 R600 0.356
4 麻/コットン(ラミー) CR6150 0.398
5 CR6800 0.442
6 CR8182 0.428
7 麻100%(ラミー・リネン) RL8080 0.323
8 麻/ポリエステル(ラミー) TR1745  ※1 0.374
9 TR8545  ※1 0.337
10 TR1545  ※1 0.347
11 麻/テンセル(ラミー) TOS03-A ※2 0.369
12 麻100%(リネン) L6060W 0.345
13 L4040W 0.348
14 L1000 0.314
15 ニット 麻100%(ラミー) 6500 0.312
16 RW2030 0.319
17 TSC8602 0.280
18 麻/コットン(ラミー) 5060 0.294
19 麻100%(リネン) L41SS 0.266
20 L6020 0.264

※1:カラーシリーズ商品ではありませんが、当社定番商品です。
※2:新規商品です。